平和に生きる権利(El  Drecho de Vivre en Paz))
チリ 作詞/作曲:Victor Jara | 訳詞:中川 敬
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竹田賢一(大正琴)、小山哲人(bass)、岩館洋(alto saxophone)、大熊亘(clarinet)、千野秀一(piano)、中尾勘二(drums)
ゲスト: 春日博文(guitar)、 関島岳郎(trombone)、中川 敬(vocal)
text ビクトル・ハラ「平和に生きる権利」ライナーノート (崎山 政毅 )

 原曲はチリのヌエヴァ・カンシオン(新しい歌)運動の旗手、ヴィクトル・ハラの残した最も美しい曲・歌唱のひとつ。エンディングでうなるディストーション・ギターが鮮烈な、彼の作品としては最もロック的なものだった。
「どんな銃も田んぼの畔や平和に生きる権利を破壊することはできない」というシンプルで力強いメッセージは、北爆に屈しないホー・チ・ミン(率いるところのヴェトナム民衆)に言よせて歌われた。またこの曲でヴィクトルは1971年度年間最優秀作詞作曲家として表彰を受けた。
 二年後、ピノチェト一派の軍事クーデターで、ヴィクトルはチリ民主制と運命をともに無残な最期をとげたが、数十発の銃弾のみならず「死後もギターが弾けないように」両手を砕かれたという仕打ちは、最後まで歌で仲間を勇気づけようとした彼の「歌の力」にたいする、一派の恐怖の大きさを物語っているようだ。日米をはじめとする「自由主義」利権集団の支援もあり、世界史は最近までピノチェト軍政のしぶとい延命を許してしまった。すくなくとも数千の死者・行方不明者など、軍政の罪悪の司法による追及は、まだ始まったばかりだ。
 なお、日本語詞は今回ゲストヴォーカルで参加の中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)による「編詩」。この録音の後、ソウル・フラワー・ユニオンのアルバムでも彼らのバージョンが(このバージョンにはもちろん先行して)発表されたが、5拍子の部分などにA-MUSIKのバージョンの特徴が引き継がれている。また同様なことが大友良英のグラウンド・ゼロのバージョン(『プレイズスタンダード』収録)にも見受けられる。
(大熊 亘)


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